今月の一冊

130404_210012 歌と言えば山本潤子、本は川本三郎サンである。私にとっては。ついでに言えば映画はデビッド・リーンで、モツ煮は西荻戎(えびす)で、ラーメンは国立旭通り金芳園で。。。

川本さんの本を読むと、夏の日の軽井沢の木陰でうまあい珈琲を呑んでいるような、穏やかな気持ちになる。この「そして人生はつづく」。奥さんを亡くした後の喪失感から、静かに静かにたちあがらんとする川本さんの闘魂も垣間見え、たくさん読んだ川本さんのエッセイの中でも沁みてしまった。まいったなあ。

川本さんは若き日の蹉跌(詳しくは妻夫木聡で映画にもなった”マイ・バック・ページ”で)の吐露を抑えに抑え、何十年という歳月で見事にそれを肚でこなして来た。そんな前半生が川本さん独特の「私」という主語を極力用いない、優しい目線の文芸評論、映画評論、そしてエッセイを紡がせてきた。

実は私が(あっ、使ってしまった)この英語学校開講と言うとても金儲けになりそうもない暴挙に立ち上がったのも、そんな川本さんの静かだけども骨太な生き方に影響されたところ、無しとしない。

但し、英語を書く上では主語の明定は必須ではあるが。。。